うしとわたし(北九州マラソン2019レポ04)
こんにちは。
球春到来!
私が野球を見始めた当時のガラガラの平和台球場内野指定席は遠くからおっさんのヤジしか聞こえませんでしたが(外野自由席なんて怖くてなかなか行けなかったよ…)、今は満員御礼のドームのあちこちから黄色い声だもの…月日が経つの速いなぁと思う今日この頃です。
レポ最終です。
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話は少しさかのぼります。
ハーフを終え先頭集団とのスライド区間が始まった時、とあるランナーさんの手に私は釘付けになりました。
(牛パック…!!)
右手と左手にひとつずつ、パックを持って走っているのです。北九州マラソンの名物給食「小倉牛丸焼き」が入ったパックを!!
サブ3以上のランナーさんって給水ぐらいしか取らずに突っ走ってると勝手に思ってましたが、給食貰ったりするんだ(そして持ったまますごい速さで走ってることにも驚いた)、そりゃ小倉牛も私たちが到着するころには無くなるわ…。そう、2017年に走った際には私が到着する頃には小倉牛は売り切れていましたからね(そもそもその前にトイレに籠ってたし…)。
心に引っかかってました。
小倉牛が。
2年間。
私はコース図を事前にざっくりとしか見ないので、どこら辺にどういう給食が出てくるかはわかっていないのですが、2年前小倉牛があった地点はトイレの位置と相まって覚えていました。ここらへんだったとは思うけど…
(………んー)
行きはもうもうとした煙と共に丸焼きの香りがしていたけど今は無いので、多分今年も売り切れたのでしょう。遠くにテーブルが見えてきましたが通り過ぎよっかな…と他のランナーさんと接触しないようにテーブルから少し離れたコースを取ろうとした時です。
(…!!!)
テーブルに駆け寄ります。
「はい、どうぞ~!」
「…あ、ありがとうございます…」
渡されたものはこれ。
(………うし…)
写真撮ってスマホをポーチになおそうとした時、不意にぽろっと涙が出ました。手にした小倉牛のパックを再び見たら涙が止まらなくなり、恥ずかしくなって左手にパック、右手で止まらない涙を拭きながら走り始めました。
2年前のことを思い出していました。
2017年の北九州マラソン、父の満中陰法要を終えて1週間後でした。小倉牛エイドからゴールまでの光に照らされた道を走るランナーさんを見て急に涙が出て泣きながら走ったあの日のことを。
2年経った今、少しわかった。あの時なぜ涙が出たのか。
突然変わったこの環境がこれからの通常になるということ、そしてもう絶対に戻ってこない人になったこと。そんなことを走りながら痛感して涙が出たんだと思う、2年前。
あれから2年経って、あの日突然変わった環境が今は通常になったこと、そして私は変わらずここに来れたこと。でも2年前とは変わって今年は貰えた小倉牛。変わったこと変わらないこといろいろあったけど、またここにいることが嬉しくて涙が出てきたんだ…今…。
(でも傍から見たら牛貰えて嬉しくて泣いてるみたいじゃん…いや…嬉しいけども)
(持って帰ってお供えしよう)
(カバンにビニール入れてたかな…)
(…結構量入ってるんだ)
頭の中をいろいろな考えが浮かんでは消え、牛をチラチラ見ながらまたじわっと涙が出て、そんな自分がおかしくて今度は苦笑い。手には牛パック。でもスタートした時の落ちた気持ちはもうありません。
ゴールが近づき沿道には沢山の応援してくれる人、お天気上々気分も上々、お腹も上々! 最後の3キロは心底楽しいと思えた貴重な時間でした。
ゴール。
なんか今までに無くスッキリした気持ち。
今年は熊本城じゃなくて北九州走れて良かった。
なんとなく苦手な意識があった北九州マラソン、でも今回走って楽しい大会の一つになりました。
気持ちで見える世界が変わることをとても実感した時間でした。
ちょっとだけ、走ることも好きになったかな。
ちょっとだけね。
おわり。