一足しかない私の大切なランニングシューズ(たるんだ根性はお天道様が見てる)
お天道様は見てる! 忘れるな! 肝に銘じよ!
6日連続トレーニング3日目。
走り始めから(だるいなぁ、JOG60分か~、明日の40分と入れ替えようかなぁ)、ともの凄くたるんだ気持ちでした。
スポーツクラブを出て走り始めても時計をチラチラ見ながらのジョグ、8分近いとても遅いタイムでした。
(とにかく60分走らなきゃ…)
トレーニングメニューがなければ休んでいます、それくらいだるい。でもえっちらおっちらとりあえず走ります。
(早く終わらないかなぁ、このペースだとあんまり遠くまでは行けないだろうなぁ…)
そう、今日は珍しくロードコース。いつもの足に優しいゴム舗装くるくる周回コースではありません。平坦で景色もよく、道幅も広いので走りやすく、調子に乗って身の丈を考えず走りすぎて鵞足炎になったコースでもあります。
(マンションの光、綺麗だなぁ。ああ、坂キツい…。んん?風強いし磯の香り??)
大きな橋を渡っていると、いつもは感じない風と香り。
(珍しい…風向き違うわ…ん?)
ポツリと頭に水滴が落ちてきました。
ポツリ、またポツリ。
(あれ、雨の予報だったっ…)
どざーーーーザザザーーーーーーぶぉーーーーーー
(!!!!!!!! うぇっ?!)
突然の強風と豪雨が私を襲います。
(な、何事?! うゎ、どうしよう?? えぇ??)
ザザザザーーーびょ~~~ドザーーー
勢いをさらに増した雨をよける場所を探しますが、たまたま走っていたところは見通しの良い未開発エリアで、屋根のある建物がありません。
(く、靴!! 靴が濡れちゃう!!!)
体や時計、iPodミニが濡れることよりも何よりも、靴! 靴を濡らしたくありませんでした。
(一足しか…一足しか無いのに、濡らしちゃったら傷んじゃう! 明日履くのが無くなっちゃう!!!)
私は外用ランニングシューズを一足しか持っていません。数年前にアウトレットで購入し、年に一度のファンランの時に履いていた靴です。でも今回フルマラソン参加を決めトレーニングを始めた時、もう少し走れるようになったら、ASICSショップに行って足を測定してもらって、靴を選んでもらおうと決めていて、あえて買わずにいたのです。
(靴!! 靴!!)
ピッチをあげてコースを戻りますが、ますます強くなった風雨は、キャップをかぶっていない顔に容赦無く叩きつけます。
道はあっという間に側溝から溢れでた水で川のようになっています。
相変わらず周りに建物はありません。
(前、見えない…靴が…靴が…)
もう靴がずぶ濡れになっているのがわかりました。今から雨をよけても、もう意味は無いこともわかりました…。
ザザーどざーーーーザザザーーーーーー
(………このままとりあえず走って戻ろう。雨に濡れて止まったら凍えるってどこかで見たし…)
落ち込んだ気持ちのまま、ゲリラ豪雨の中を走って戻ることを決めました。
(雨の日に走ったことなかったから、トレーニングになるよ、きっと…だらだら走るより良かったんだよ…)
何回か信号に引っかかりながらもその場で足踏みし、体温を下げないよう気をつけます。
もう靴は水を吸って大変な重さです。体中濡れていないところはありません。そもそも、水が溜まっていないアスファルトが見つからないくらいの勢いの雨ですから。
ずぶ濡れのまま雨を除けようともせず、てくてく走る私は奇妙なのでしょう、傘をさしながらすれ違う人達の視線を感じます。
(…雨で体が濡れていると、走りやすいんだ…)
体温が下がり、キツさがあまりありません。一つ勉強になりました。
(小指とカカトあたりがこすれている感じがする、このままだとマメができるんだろうな)
濡れた足で走るとこすれる場所が分かり、また一つ勉強になりました。
(キャップ…あったら雨が顔にかからないって読んだけど、確かにそうだろうな…)
帽子の大切さ、また一つ勉強になりました。
(走る前に、雨雲レーダー確認しよう…)
天気を予測する、また一つ勉強になりました。
少しずつゲリラ豪雨は勢いを弱め、スポーツクラブに到着した頃には小雨になっていました。
全身から水を滴らせ立っている私を見て、顔見知りの会員さんが驚くと同時に心配して声をかけてくれます。
ありがとうございます、大丈夫です、ゲリラ豪雨にあったけどよけるとこ無くって…と説明しながら靴を脱ぎます。
(あぁ、グチョグチョだ…)
私の一足しかないランニングシューズ…初めてファンランに参加した時から大切に履いてきた私のランニングシューズ…。
水を滴らせたその姿を見てなんとも言えない気持ちになりました。
(だらけた気持ちで走ってたから…)
きっと私のたるんだ根性をたたき直すために、私が走っているあの時間あの場所であんな豪雨が降ったんでしょう。それくらいピンポイントの雨でした。
お天道様は見てる! 忘れるな! 肝に銘じよ!
予定していた時間の半分しか走れず、大切な靴を濡らしてしまったけど…勉強にもなった雨の中のジョグでした。
酷いタイム
(走ってきた格好で速攻帰るつもりだったので、替えの服を持ってきていなくて途方に暮れる私)
(ハンドタオルしか無く、まともに身体を拭けない私)
(ずぶ濡れのまま車を運転する私)
(家に帰って、靴に新聞紙詰めようと思ったら、今朝廃品回収だったことを思い出し途方に暮れる私)
(変な勢いで走ったせいかまた膝が痛くなった、しかも足首まで痛い私)
(半分の時間しか走れなかったので、不足分をこの六連続練習の中にどうねじ込むか考えると震える私)
(お隣さんに新聞紙を貰ってほっと一息、とりあえず乾燥をまつ私の大切なランニングシューズ)